■vs女スパイ
「今回の指令を二人に命ずる。この人物の暗殺だ。」ボスは真剣な面持ちで私達の
前に一つの写真を出した。その写真にはこの町では有名なドラッグのブローカーが写っていた。
私達の所属する部隊は、<特別捜査混成団>と言われる。<混成団>のなごりは、元々は
軍の指揮下にあった部隊が、そのまま治安維持の目的で警察に組み込まれる形になったためで
ある。特別捜査はスパイ活動や暗殺を主な任務としている。その中でも、私達<palm>は
特別な評価を得ている。私とミズキの二人だけで組織される、まさに<palm>(手のひらサイズ)は、
都心部における犯罪において確実な仕事をこなした。
「リサ、今回のターゲットどう思う?」とミズキが私に話しかけて来た。
「今回は楽にいけそうじゃない?取り巻きも、ただのチンピラだし。いつもの感じでやっちゃぉ♪」
こんな感じで私達は、10人未満の組織を何十、何百と一緒に壊して来た。私が正面突破型に対して、
ミズキは冷静沈着。現代の隠密のような女の子だった。私達は、お互いに色々な過去を持ち、
トラウマもあるけど一緒に信頼出来る仲間としてやってきている。
「さって!仕事しよっか!!」私は自分の金髪の長い髪を払い、立ち上がった。
港にある古い倉庫。二人の見張りが、タバコを吸いながら見張りをしている。私達の目的は
<逮捕>でも何でも無い<暗殺>なので油断している時にいく。何も取引のまっただ中に突っ込んで
全員逮捕するなんていう力技は正規の警察の仕事だ。
「リサ、私は裏から責める。リサは正面から陽動しながら行って頂戴。」これはいつもの私達の
セオリー。
「いくよ!」私の声と同時に、ミズキは闇に消えた。私も正面から、二人の見張りに駆け出した。
「な、、、だれ、、!!!」と声を上げた方の男に飛びつき、フランケンシュタイナーで思いっきり
男を地面のコンクリートに叩き付けた。そして、次の男に飛びかかり、卍固めを形成した。
ぎゅうううううう!!!
「い、、、いって、、、な!!!!」と男が声を挙げる前に、卍固めをかけながら、指を男の口に入れた。
「ほらぁ、気持ちぃの?ん?」と男の全身を締め上げる。そう、この男がSMクラブに入り浸っている事
等は調査済みなのである。そういう男を拷問して削っていく。それが私達<palm>のやり方だ。
「おまえのボスは何処にぃるのぉ〜?ぁれ?気持ちよくてそれどころじゃないの?」と言うと、私は、
卍固めから男を開放し、地面にゴロリと転がった男に全身で飛びかかり、胴を太股で、首をスリーパー
ホールドで完全に動きを封じる。
「ん、、、、、んぐっ、、、!!」男は苦しそうに私の中で悶え苦しむ。「ん、、、はな、、、、せ」
私は必要に頸動脈を外した状態で、強弱をかけながら2分程拷問した。私が男の耳を舐めながら
「ラストチャンスだょ、、、、」というと、男は呆気なくボスの場所を教えた。
私は、急いでボスの場所に向かった。しかし、私達が突入した倉庫とは全く別の倉庫に私は
走っていた。そう、嘘の情報をリークされていたのだ。だが、<特別捜査混成団>に偽の情報を流せる
規模の団体などは、この町にはいないはず。私は混乱しながら、別の倉庫に侵入した。そこには警備、
取り巻き、一切誰もいない場所だった。「また騙された?」私が悩んでいると、「正解よ。リサ。」と
暗闇からミズキの声がした。私は安心した。ミズキも同じ情報を得て、先にこちらに来ていたのだ。
「ミズキ!」私が言ったと同時に、私の腹部に強烈な痛みが走った。「ぇ、、、、」
私はその場に倒れ込んだ。そして、髪の毛を引っ張られたと思うと、首元に冷たいレザーの感触が
一瞬にして、首の周りに巻き付いた。ぎゅううううう!!! 「????」私は混乱した。しかし、
この技の手際、強さ。私に技をかけているのがミズキである事がわかった。故に混乱した。
「な、、、、なにするの!!」と私は、ミズキの鍛え抜かれた太股の中で言った。
抜け出せないかも知れないという恐れもあいまって、声は震えた。「私達って、お互いの
過去何も知らないわよね。。」ぎゅううううううう!!!拷問する気も、痛めつける気もない
事が私には解った。ミズキは私を殺す気でいる。
「あのね。今回のターゲット。実は私のお父さんなの。」ミズキは冷たい声で私にいった。
そう、私達はお互いの過去の事、昔の恋人の事、そして両親の事すらも話した事はないし、
<暗殺>などの関係上身の上話は禁句の様に行なわれていた。
「リサの得意な太股絞めで最後を終わらせてあげる」
ぎゅうううううううう!!!足技は私は誰にも負けなかった。このサイドからのヘッドシザーズを
ミズキがするのは、私の足技を恐れているためだ。後ろからでも正面からでも、私に捕まったら
逃げられない。だが、ミズキはそれを熟知してるが故に私にもっとも屈辱的な形で、そしてもっとも
効果的な絞め方を完成させている。
「ミズキ、そのままの体制でいなさい。」奥から低い男の声が近づいてきた。ミズキは絞める強さを
変えずに「お父さん、、、」と反応した。写真に写っていた男が私の目の前にいる。
私はキッとその男を睨んだ。男は笑いながら、私の鳩尾を思いっきり蹴り始めた。
ズゴっ!!!!ズゴっ!!!ズゴっ!!! 私は、ミズキのヘッドシザースで呼吸困難な上に、
男は笑いながら私の鳩尾を踏みつけ続ける。私は嘔吐感と絞め落とされて意識が飛ぶ間を
何度も往復させられた。
「君は、リサ君というのだっけ?」散々、私の鳩尾を蹴り付けたあと、私の両腕と両足首にリング状の
何かを巻き付け始めた。ミズキは警戒したのか、彼が私の両足首にリングを付ける時は、もの凄い力で
私の首を締め付け、私が抗うのを牽制した。
全てのリングを付け終えると、「ミズキ、もう完了した。いいぞ。」
と彼は後ろを振り向き歩いて行った。「リサ、おねんねの時間だよ。」
ぎゅううううううう!!!私は、ミズキの父親の後ろ姿を見ながら、意識がなくなっていた。
翌日、私は凄い首の痛みとお腹の痛みで起きた。「あれ、、、、」私は自分の部屋にいる。
昨日の事は悪い夢だったのか。しかし、ずっしりと両手首と両足首は重い。リングのせいだ。
私が起き上がろうとすると、留守電がなった。
「そのリングにはC4爆弾が搭載されている。
君がそれを外そうとした時、君が私に逆らった時、それは爆発する。君がいかなる状況であれ、
それは衛星電波で管理されているから、世界中何処にいても、そのリングからは逃げられない。
それから、ピーーーーっ」と留守電が切れた。
ドアの入り口に、一枚の写真が貼ってある。
<特別捜査混成団>のボスだ。
それから、彼を暗殺しろ。
これが彼からの最初の命令だ。